心理学を勉強していると、必ずユングとフロイトが訣別したという事実を学ぶこととなります。Wikipediaのジークムント・フロイト の項目には、訣別の理由は「無意識の範囲など学問的な見解の違い」と書かれてあります。ユングは、フロイトが考えた「無意識」の他にも、より深くて広い「集合的無意識」の存在に気付いていました。また、ユングは、フロイトが何でもかんでも抑圧の原因を「性的外傷」であると考える点に同意できず、大いに不満を抱いていたようです(「ユング自伝」A.ヤッフェ編、みすず書房、1972年)。
二人の出生図を比べてみると、ユングとフロイトの訣別は必然だったなぁと感じます。今回は、その点について掘り下げてみたいと思います。
まず、フロイトに「性」に関する研究が多いのは、彼自身の魂にそのような傾向があったということが、彼の出生図から伺えます。フロイトの出生時間をインド時間に修正すると、5室(牡羊座)にラーフと金星と太陽が在住します。そこに火星が8番目のアスペクトを投げかけています。5室は専門知識の部屋でもありますが、恋愛ロマンス、異性関係の部屋でもあります。金星は、「恋愛ロマンス」といった「楽しいこと」を現象化しようとします。ラーフは欲の惑星です。そこへ火星がアスペクトして、こうした「恋愛ロマンス」や「異性関係」の「楽しみごと」を活性化させているように見えます。太陽はプライドの星、社会できちんと認められたいという星です。ですから、フロイトは、異性への強い関心・衝動を社会で認められる形の学問として昇華させた、とも捉えることができるかも知れません。
一方、ユングは、現在の量子力学でいうところの「ゼロ・ポイント・フィールド」について、述べているだろうことを感じさせる言葉があります。
「この世のミクロ界は『あちら側の世界』が漏れ出たグレイゾーンゆえ、シンクロニシティとは別の世界から発現したホコロビなのだ。あなた方が不思議に思うのは、この世の物質的な常識をもとにして考えているからだ」(「ユングは知っていた」(コンノケンイチ著、1998年)
つまり、「この世」と「あの世」は、この空間で混じり合っていて、互いに干渉し合った結果として、シンクロニシティが起きると言っているのだと思います。
19世紀終わりから20世紀初頭を生きたユングが考察したことが、今ようやく量子力学によって裏付けられようとしています。
ユングの出生図の12室は魚座。そこにラーフがあります。この配置の持ち主は、精神世界、神秘世界、霊的な世界、宇宙叡智に興味を抱き、宇宙インスピレーションを掴む力が強くなります。特に、魚座は、ナチュラルゾーディアックでも12番目に当たるため、12番目のエネルギーが強く流れています。12室は、物質世界から離れた世界であり、スピリチュアルであり、霊的な世界とつながる場所であり、神々との交信の場所です。ユングの学問が、神秘世界、宇宙叡智へと深くつながっていったのは必然だと考えられます。
従って、5室の恋愛ロマンスといった性的エネルギーが強く流れるフロイトと、12室の宇宙エネルギーが強く流れるユングが学問において一致するわけはなく、二人が訣別したのも必然だと思うのです。
フロイトは、ユングより19歳も年長だったため、ユングもなかなかフロイトに反論できなかったことがユング自伝を読むと伝わってきます。そして、訣別してから、ユングは精神的に窮地(方向消失の状態)に立たされるのでした。ただ、この精神的な辛さを体験する中で、ユングは「大学教授のポスト」を捨て、内なる声に従って生きる決意が生まれました。そして、ユングが自分の魂に従って生きるようになった時、彼の学問もまた深化し、現在の量子力学が明らかにしようとしている深みにまで、当時到達したのだなぁと思います。
結論は単純ですが、「ピンチは魂のチャンス!」なのだと改めて感じました。


