シルバーバーチは次のように述べています。
「大霊」によって「霊的存在」として創造された私たち人間にとって、最も重要な部分は内在する「霊(分霊)」です。人間は“大霊の分霊”“ミニチュアの神”を、その内奥に宿しています。そしてこの「霊(分霊)」は永遠の個別性を維持し、果てしない霊的進化の道を歩みながら、一歩一歩「大霊(神)」に近づいていくことになるのです。
このしくみを「ユングは知っていた」(1998年、徳間書店)の中で、著者のコンノケンイチ氏が「リンゴの木」を使ってわかりやすく説明してくれています。まず、一番目立つ赤い皮が「表層意識」、次に私たちが美味しくいただく白い果肉部分が「深層無意識」、そして、食べずに残すリンゴの芯が深層無意識の核となる「原始心像」を表わしていると想像してみます。
そして、このリンゴの芯(原始心像)が、私たちに内在する分霊、つまり“ミニチュアの神”であると考えます。すると、そのリンゴの芯(原始心像)は、それぞれの木の枝を通して、太い幹とつながっています。そして、その太い幹も大地(宇宙全体)に根をおろし、地中で他の木とつながっていて、全てが一体となっています。
ここで、1本の木にたわわに実っているたくさんのリンゴを「類魂」と考えると、地面の中でお互いが根の部分でつながった大地(宇宙全体)が「大霊」と考えられます。
そして、リンゴの皮や果肉部分が木から落ちて腐っても(つまり、私たちが死んで肉体が消滅しても)、リンゴの芯のタネ(原始心像)は土の中に同化して、新たな生命を生み出します。これが「輪廻転生」というわけです。
ユングは、更に、「この原始心像こそ、神と人間との深い関わり合いに関する最古の知識が埋没する膨大で無尽蔵の宝庫である。心の深い闇のなかにひそむ宝庫の扉を開き、そこに山積みする素材を解明し、新たな生命を吹き込んで現意識に統合することで、人類という種の偉大なジャンプ(突然変異)を可能にするのだ」と述べています。
このユングの深い言葉を、私は、次のように理解しました。「自我意識(エゴ)を手放し、自分の中の分霊に気付くと、人類は飛躍的に進化する」と。ユングの話から、自我意識の強い状態とは、自分と他者がいつも意識の中に存在する状態です。嫉妬・妬みなどのネガティブな感情が生まれる元凶ですね。この自我意識を手放し、自分の分霊に気付くと(統合していくと)、この世の出来事に一喜一憂しなくなることでしょう。これが、ユングのいう「人類という種の偉大なジャンプ(突然変異)」することなのかなぁと思いました。
ユングは、精神科医で心理学者と紹介されますが、「量子力学」の観点から見えない世界“こころ”を究明した偉大な科学者であり、そして、スピリチュアリストだなぁとつくづく思います。
同じ、「無意識」という概念を提示したフロイトが、精神疾患や神経症などの原因を全て性的な欲望に求めたのに対し、ユングがそこに疑問を持ち、フロイトと決別したのも自然な流れだったと思いました。
因みに、日本の大学で心理学を勉強してもちっとも面白くなかったのは、ユングのそういった面に全く触れないところでした。ユングが好きなので、またいつかユングについて考察してみたいと思います。


